21時の珈琲

キャリア迷子の企画職ワーママ(育休中)が考える、育児、仕事、日々の記録。

育休中に読んだ本のベスト9を考えてみた(2022年)

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2022年に読んでおもしろかった本の感想を書こう…!と思ったまま、今年ももう1か月が経とうとしています。時の流れ早すぎィ…!

 

 

 

読書習慣が戻った1年でした

2022年はたくさん本を読みました、というか、私の好きな活動で育児中にやれるのが本を読むことくらいしかなかった。

 

本当は、オケに乗ったり、演奏会に行ったり、美術館に行ったりしたいんだけどねェ……

 

読書というのは大変便利で、1分あればできる活動です。

読書習慣が戻ってきたのは9月。息子が生後5か月になり、育児にも慣れてきたタイミングでインスタに読書投稿をスタートしてからでした。

4か月間で22冊読みました。それまで月に1冊も読めてなかった私からしたら、すごく読んだ方なのです…!

今年は70冊以上、可能なら100冊読みたいな。

 

2022年ベストナインを考えてみた

そんなわけで、2022年に読んでおもしろかった9冊を考えてみました。

 

1.ファクトフルネス

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ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。(紹介文より引用)

 

コロナ禍におけるトイレットペーパー騒動を思い出した話。一時期トイペなくなりましたよね。

 

東京大学の鳥海不二夫教授らが発表した論文によると、「デマツイートを見た人より、訂正ツイートを見た人の方が過剰な購買をした」とのこと。訂正情報に触れた人たちは、「デマ情報を見た人がトイレットペーパーを買い占めるかもしれない」と思って、購入に走ってしまったのではないか、という分析が出ました。

 

デマに踊らされなかった『賢人たち』に、いったい何が起きたか。この本を読んで、いくつかの本能にあてはまるのでは、と思いました。

  • 恐怖本能
    トイレットペーパー不足への恐怖
  • パターン化本能
    「情弱はデマを信じるはずだから」という分類に対する思い込み
  • 焦り本能
    「早く買わなきゃ、なくなっちゃう」という焦り

これらの本能は、本能であるが故に対処法を知らないとすぐ顔を出すし、抑えるのに苦労します。

ただ、本能のくせを知っていればこの世はそんなに怖くないとわかる、そんな本でした。

(ちなみに、この本の初版は2018年2月、コロナ前です。今後発生しうる事象にも使える普遍的な世界の見方だなぁと驚きました)

 

 

2.多様性の科学

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2.多様性の科学

「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがありますが、まさにそういうこと。優秀な人物が一人いるより、平凡な人物が十人いた方がイノベーションを起こしやすいという本です👩🏻🧑🏼👩🏿‍🦱

 

私が育休前に所属していた組織は、平均年齢40歳の「昔ながらの日本企業」であります。

部長もいるような会議で「どんな意見でも歓迎」なんていっても、若手は委縮して言い出せない。でも、あとでこっそり聞いてみると、「実はこんなこと考えてました」と教えてくれる。言えばいいのに!すごくいい意見だよ!と言うと、びっくりした顔をしていました。

 

この現象を本作では「決して最初から多様な意見がないのではなく、表明する場がないのだと表現されています。「わざわざ自分が言わなくても、リーダーならすでに知っているだろう」という気持ちが働く、とも。

 

この本では、多様な意見を出すためには相応の環境が必要と説きます。

多様性を引き出す環境

集団には「支配型ヒエラルキー」「尊敬型ヒエラルキー」の二種類があり、後者の方が革新的なアイディアを生みやすい。

 

今考えれば、常に時間がない中での人数が多すぎる会議。「そんなことで時間使うなよ」という空気が流れていたのは事実でした。

忙殺されると効率を求め、「一見良く見える」意見以外は検討できなくなる。そうすると若手も空気を読んで発言できなくなってしまう。

 

でも、組織の勢いは畢竟、若手のやる気だと思っています。彼らにのびのび、「仕事って楽しい!」と思ってもらえるように、ある程度「余白=あそび」を残しつつ、リカバリー可能な失敗をいくつか経験させてあげたいなぁと、組織改革に向けて勇気が湧いてくるような一冊でした。

 

 

3.池上彰の行動経済学入門

最近ブームの「行動経済学」の入門編。

感想についてはこちらでまとめていますので、割愛。

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4.西洋絵画の教科書

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インスタで一番いいね!をもらえた一冊。絵の意味がわかって、美術館巡りが楽しくなります。

 

もっと、絵をわかるようになりたいなぁ。そんな一心で手に取りました。

わたしのような初心者に向けてやさしく説明してくれます。

名画が名画たる所以
描かれている主題と隠されたモチーフが告げるメッセージ
持ち物からその人物が誰かを推察すること
この絵のどこを見たらいいの?というような難しい絵の解説

今まで、画材を知って何になる?と思っていたのですが、その画材が生まれた背景を知ると、その時代にタイムスリップしたような感覚がして、一気に目の前の絵画が「教科書の世界」から「自分と同じ、人間らしさをもった作者が描いたもの」に見えてきてオモシロイ。

 

 

5.掃除婦のための手引き書

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アメリカ生まれメキシコ育ちのシングルマザーの自伝的小説。彼女のものを見る目、表現にする力に目を見張る小説。日本人には出せない味わいだと思います、間違いなく去年のイチオシ。

 

幸せとか不幸せとか、そういう尺度の話ではなくて、ただ痛いほどにまっすぐ真実を描く。ガリガリと身を食われるような感覚になります。

感想を書くのに時間がかかったし、読むのはその倍かかった。何度も同じ文章を反芻して、想像して、自分のものにするのが難しかったです(そして、ものにできない言葉もあった)。

 

最初の数編の感想は、「よくわからない」。
半分くらいで、「これは劇薬だ」。
でも、さらに読み進めると、実は彼女の作品に攻撃性はなく、むしろ大らかで、優しくて、生への活力で溢れていることがわかりました。

 

 

6.モモ

私も時間泥棒に時間を奪われてるなぁと自らを省みる。

くわしくはこちらに書きました。

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7.窓ぎわのトットちゃん

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好奇心旺盛なトットちゃんは、小学校一年生で退学になった。新しく入学した自由な校風の「トモエ学園」で、トットちゃんの人生は花開く。

言わずと知れた黒柳徹子さんの大ベストセラーである、自伝的小説。

 

「子どもを尊重する」という言葉の中には、子どもを小さな大人として接する他にも意味があるのかも、と、この本を読んで気づいたのです。

 

子どものペースがある

子どもはあらゆることが不慣れだから、あらゆることに時間が必要。ごはんを食べる、靴を履く、お散歩に出かける、気持ちを切り替える。手先の不器用さはもちろんのこと、一つ一つに五感を使っていたり、思慮が及んでいたりする。

 

子どもにはそれぞれ個性がある

人間は生まれながらに個性を持っていて、それは親の思惑とは無関係で備わっているものなのに、私たち大人は世の中の枠組みや自分の価値観に子どもを無理やりはめようとしている。

賢い、お友達と仲良く遊べる、積極的、気持ちが安定している、リーダーシップがある…いろんな「能力カタログ」があって、そこからえいっとピックアップして子どもにインストールしようとしている。

 

みずみずしい黒柳徹子さんの筆致にも驚きました。本当に子どもが書いたんじゃないのかしらと思うほどです。加えて、トットちゃんが書かれたのは著者が40代のころ。おそるべし、黒柳徹子さん…!

 

しかも、なんと、ご本人の朗読をaudibleで聴くことができます!

1990年に発売されたカセットテープ版を、audibleで配信しています。ご本人の朗読は最高です!トットちゃんが目の前で走る、回る、しゃべる。

快活な東京弁も気持ちいい。本では「くださった」なのに、徹子さんは「くだすった」と読んでいる、そういう機微が随所にあって、トットちゃんが生きたころの世の中の様子まで伝わってくる。素晴らしい朗読でした。

 

▼育児中の私はaudibleのおかげで読書量が格段に上がりました

 

惜しむらくは、カセットテープ版はいくつかのエピソードを抽出したものだということ。いつか、全文をご本人の朗読で拝聴したいものです。

 

 

8.蜜蜂と遠雷

聴く芸術の音楽を文学として描き切った恩田陸さんに脱帽。

くわしくはこちらにて。

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9.おいしいごはんが食べられますように

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2022年芥川賞受賞。多様性の認容を、価値観のバトルにしては誰も幸せにならないと感じさせる一冊。

 

プライベートな関係なら、価値観が合う人を選べます。けど職場にはいろんな人がいる。

本文中にあるように、「誰でもみんな自分の働き方が正しいと思ってる」。多様性のある職場、というと聞こえがよいですが、ふたを開けてみると「価値観のバトル」になっています。

 

芦川さんは、心も体も弱い。そのこと自体は別にいいと思うんです。生まれつき虚弱体質の方がいるように、心だって風邪をひきやすい方もいる。

ただ、「強いか弱いかを比べる戦いだった。当然、弱い方が勝った」ではいけない。そんな報われない社会にしてはいけない。

かといって、必ず強者が勝つというのも、民主主義の発展が水泡に帰することになります。

 

過度な自己責任論を諌める社会は、いきすぎると「弱いが勝つ」になる気がします。

いろんな価値観があるけど、これから先、価値観を勝負の世界に引き込まない・強者と弱者という分断を起こさないようにしないとな、と、社会構造を考えさせられる難しい作品でした。

 

 

2023年も本を読んでいきます

小説・ビジネス書・育児書・教養書・歌集など、それぞれのジャンルごとに読み方も違うなぁ~とわかった2022年。

 

今年はもっと読書のアクセルを踏みたいと思います。

その月に読んでおもしろかった本3冊は、ブログでも詳しく紹介したいなぁ。

 

最後になりますが、読書履歴はインスタグラムにて細かく記録していますので、ご興味ある方がいらっしゃいましたらフォローいただけると嬉しいです!