世の中には物が溢れている。時計やアクセサリーといった小物から、家や車などの大きなものまで。さらにインターネットで人の生活を垣間見れるようになったおかげで、旅行や食事やライフスタイルなど、色んな情報が目に入ってくる。とても豊かになっているはずなのに、いつも喉が渇くような感覚。自分の生活に満足していても、他人の生活が羨ましい。
なにを選んでなにを捨てるか、決断するのが最も難しいことだと思う。仕事でもそうだけど、誰がいつまでにやるかって、あまり決めたがらない。それを決めてしまえば、どんどん前に進むのにね。持てるものは一定なんだよ。時は24時間だし、家計が破綻しない程度のお金で手に入れられるものじゃないと。
畢竟しあわせになりたくて色々欲しがるのに、欲しがった結果、わたしはしあわせになれるのかしら?背伸びしてまで。背伸びを強いてまで。
♪*♪*♪
最近、ますます言葉が増えている娘。スーパーにいけば片っ端から知っている物の名前を口にする。いちご、りんご、レモン、ぎゅうにゅう。そうだね、と声を掛けると、満足げな顔。
夕飯の後にはデザートを出すことにしている。旬のものを食べさせたくて、りんごやいちご、みかんが多い。りんごは1個100円と安いので、よく買っている。食べ終わった後、包丁とまな板をテーブルに出して、娘の前でりんごを剥く。しゃりしゃりしゃり。はい、どうぞ。娘は、ここぞとばかりに破顔した。花開くような笑顔。一瞬で。
好きなものがある。好きなひとがいる。そんなひとつひとつが、この子にとっては世界中のしあわせを集めても叶わないほどの、今ここにある真実なんだ。それが嬉しくてたまらない。だからこんなに屈託のない顔で笑えるんだね。「やったぁ!!」と叫びながら両手を挙げて喜ぶ姿がまぶしい。こんなシンプルなことを、子供から教わるなんて。
世の中には色んなものがあるけど、私には100円で買える幸せがある。手元にある幸福に感謝しないといけないね。