21時の珈琲

キャリア迷子の企画職ワーママ(育休中)が考える、育児、仕事、日々の記録。

生活に、ひとときの余裕を。ヨーロッパのカフェ文化への憧れ


思い返せば、お付き合いも2年を超えた、大学4年生の冬。
まだ恋人同士だった夫と私は、「来年から社会人だ」「彼は転勤するかもしれない」という切なさを胸に抱えながら、未来の話をしていたのでした。



「1番行ってみたい国は、イタリアかなぁ」
「もし結婚したらさぁ、一緒に行ってみたいよね」
「その時のために、お互い、卒業旅行にイタリアに行くのはよそっか」
「せっかくだから、とっておこうね」


それから6年後の春、私たちはようやくイタリアを訪れたのでした。



イタリアでは、バールと呼ばれる軽食屋さんで、朝も昼も夜も、カフェ(といえば、エスプレッソを指すのだそうです)を一杯立ち飲みする文化が根付いていました。

ミーハーな私は御多分に洩れず、夫を連れ回し、1日の間に何度もコーヒーを飲みました。もちろん、日本でブレンドコーヒーに慣れている私たちが日に何度もエスプレッソを飲むと胃が荒れてしまいますから、時にはカプチーノ、時にはアメリカーノとバリエーションを変えて注文しました。

彼らはその少量のエスプレッソを、1日に何杯も嗜む。行くたび変わる、カウンターのお客さんとの会話を楽しむ。「カフェ」は、ただコーヒーを飲むことを目的とするのではなく、社交の場でもあるのです。





ところ変わって、オーストリア・ウィーン。

この街では、2011年、「カフェ文化」がユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。

和食が世界無形文化遺産に登録されたのは、記憶に新しいですね。
私たちにとって、「文化」と認識するまでもない和食。それと同様に、オーストリア人にとって、カフェとは生活になければならない必需品なのかもしれません。





4年ほど前、友人と一緒に、ウィーンを旅しました。

ウィーンでは、イタリアとは異なり、一杯のコーヒーを長い時間楽しむのだそう。

例えば、朝、新聞と本を持って、カフェハウスへ。「ザッハートルテ」と呼ばれる甘いチョコレートケーキを食べながら、ミルクたっぷりのコーヒーを楽しむ。その時間は自分1人だけのもので、文字に没頭したり、なにかひらめいたり、……なにをしても良いのです。

イタリアも、オーストリアも。スタイルこそ違えど、1日の中で自然にカフェの文化があって、その時間は仕事をするでも家事をするでも育児をするでもない、「自分だけのもの」なのです。





私たち日本人の生活は、忙しい。朝食は適当で、満員電車に揺られ、会社では休む間も無く仕事をし、納期に追い詰められて、退社すればもう夜、スーパーで夕飯の買い物をして、お家に帰って急いで料理、お風呂の準備、洗濯物を取り込んで、ご飯を食べたら素早く身支度を済ませ、もう1日が終わるのです。

この生活の間に、コーヒーを飲んだり、お菓子を食べる時間があるかもしれない。だけどそれは、ただ飲食しているだけで、「自分の時間」として意識することは、あまりないですよね。

私たちにも、ふと立ち止まる瞬間があっても良いと思いませんか。

ヨーロッパみたいに、コーヒーショップに行かなくても良い。お家カフェであっても、ハンドドリップなんてしなくても良い。
インスタントコーヒーでいいから、お家に帰って、ちょっとだけ「自分の時間」を作ってみよう。

この「自分の時間」は、きっと私たちに余裕をもたらして、その余裕こそが人生のきらめきになるはずだから。

今日の一曲

朝、コーヒーを飲みながらゆっくりした時間を楽しみたい。ドビュッシーの「夢」を聴きながら、美しい1日の始まりを。


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